名前はかわいいが、扱いはかなり厄介な「マメハンミョウ」
夏の畑で、大豆やインゲンなどの葉に細長い黒い虫が集団で付いていたら、マメハンミョウの可能性があります。
マメハンミョウはツチハンミョウ科の甲虫で、成虫はおよそ1~2cm。黒っぽい細長い体に、頭部から胸部付近が赤褐色に見えるのが特徴です。名前だけ聞けば普通の昆虫ですが、農作物を食害するうえ、体内に「カンタリジン」という強い刺激性物質を持っているため、素手で扱うべき虫ではありません。

森の虫というより、畑や草地で遭遇しやすい
マメハンミョウは深い森林の中を専門に生活する虫というより、畑、草地、河川敷、林の縁など植物の多い開けた環境で見つかります。
成虫は夏を中心に活動し、大豆などのマメ科植物をはじめ、さまざまな植物の葉や花を食べます。問題なのは一匹ずつ静かに食べるとは限らないことです。同じ場所へ多数が集まり、一斉に葉を食害することがあります。
発生数が少なければ被害も限定的ですが、大量に集まれば葉が穴だらけになり、作物の生育に影響する可能性があります。農家からすれば、単なる珍しい昆虫ではなく農業害虫として警戒する対象です。
本当に怖いのは「噛むこと」ではなく体液
マメハンミョウは、スズメバチのように人間へ積極的に襲いかかる虫ではありません。危険なのは、捕まえたり潰したりした際に接触する可能性がある体液です。
含まれているカンタリジンが皮膚に付着すると、赤み、ヒリヒリした痛み、水疱など、火傷に似た皮膚炎を起こすことがあります。

ここで厄介なのが、「退治すれば安全」とは限らないことです。死骸にもカンタリジンが残るため、殺した虫を素手で拾ったり、潰れた虫を手で掃除したりするのも避けるべきです。
少数なら「潰さず回収」が基本
家庭菜園などで数匹程度を発見した場合、長袖、手袋などで皮膚を保護し、長いトングや捕虫網などを使って直接触らず回収する方法が安全です。
慌てて靴で踏み潰したり、素手で握ったりする必要はありません。マメハンミョウ対策では、「殺すこと」以上に体液へ触れないことが重要になります。

大量発生した場合は農薬の登録を確認する
数十匹、数百匹という規模で発生している場合、人力だけで回収するのは現実的ではありません。この場合は農薬による防除が選択肢になります。
ただし、殺虫剤なら何でも使っていいわけではありません。農薬には使用できる作物、対象害虫、希釈倍率、使用回数、収穫までの日数などが定められています。
栽培している作物とマメハンミョウに使用可能な登録農薬かを確認し、必ず最新のラベルに従うことが基本です。広い農地で大量発生した場合は、JAや地域の農業関係機関へ相談した方が確実でしょう。

退治した後の死骸まで注意する
回収したマメハンミョウは、素手で触れない状態のまま袋へ入れ、袋を二重にするなどして密封します。その後は自治体の分別方法に従って処分します。
わざわざ潰してから捨てる必要はありません。むしろ潰せば体液が周囲へ付着する可能性が高くなります。「触らない・潰さない・雑に扱わない」という三原則で考えた方が安全です。
幼虫時代は、まったく違う生活をしている
興味深いのは、成虫と幼虫で食生活が大きく異なる点です。
成虫は植物を食べる害虫ですが、幼虫は土中などでバッタ類の卵を利用して成長します。そのため、生態だけを見れば他の昆虫を減らす側面も持っています。
つまりマメハンミョウは、単純に「最初から最後まで野菜を食べ続ける虫」ではありません。成長段階によって役割が大きく変わる、かなり変わった甲虫なのです。
マメハンミョウは「知らずに触ること」が一番怖い
マメハンミョウ自体が人間を追いかけて攻撃してくるわけではありません。その意味では、見つけただけで恐怖を感じる必要はありません。
しかし、普通の甲虫だと思って手でつかんだり、畑仕事の最中に何気なく潰したりすると話が変わります。
植物を食害するうえ、触り方を間違えると人間の皮膚にも被害を与える。これがマメハンミョウの厄介なところです。
畑で見慣れない黒と赤褐色の細長い甲虫が大量に集まっていたら、まず素手では触らない。それだけ覚えておくだけでも、かなり違います。
【編集者が思うこと】
かなりヤバい虫である。小さい甲虫だからと軽くあしらえば、下手すりゃ火傷みたいな水ぶくれ。今回は農家を営む知人からの提供ネタだが、本人はいま実際にこいつらと格闘中。農業って、虫との戦争でもあるんだな。