2020年。
マスクが店から消えた。
学校が休みになった。街から人が消えた。
県境を越えるだけで白い目で見られ、飲食店は営業時間を短縮し、イベントは中止。テレビをつければ毎日「感染者○○人」。
スーパーではトイレットペーパーまで消えた。
今振り返ると、あの異様な空気はいったい何だったのだろう。

もちろん、新型コロナそのものが存在しなかったわけではない。
WHOは2020~2021年のパンデミックに関連する世界の超過死亡を約1490万人と推計している。直接コロナで亡くなった人だけでなく、医療逼迫などによる間接的な死亡も含む数字だ。
少なくとも初期の新型コロナを「ただの風邪だった」で片付けるのは無理がある。
しかし――。
病気が本当に危険だったことと、あの騒ぎのすべてが合理的だったことは、まったく別の話である。
そこで今回は、コロナ騒動の裏側を「真実」「かなり怪しい」「都市伝説」の三段階に分けて考えてみよう。
【真実】コロナでは、とんでもないカネが動いた
まず間違いないのは、コロナによって巨大な市場が生まれたことだ。
ワクチン、治療薬、PCR検査、マスク、防護服、消毒液、オンライン会議、宅配サービス。
世界中で突然、数十億人規模の需要が発生した。
代表的なのがファイザーである。
同社の2022年の売上を見ると、新型コロナワクチン「コミナティ」が約378億ドル、治療薬「パキロビッド」が約189億ドル。二つだけで約567億ドルという、とてつもない規模だった。
だから、「コロナで巨大企業が儲かった」こと自体は陰謀論ではない。事実である。
ただし、「儲かった」から「だからウイルスを作った」とはならない。
火事で消防設備会社が儲かったからといって、消防設備会社が火をつけた証拠にはならない。
ここをごちゃ混ぜにすると、一気に陰謀論になる。
そして巨大な公金が動けば、当然そこへ悪人も集まる。
米国ではパンデミック期の失業給付だけでも、巨額の不正受給が発生したと政府機関が推計している。
つまりコロナは、感染症であると同時に、史上最大級の「カネが動く非常事態」でもあった。
【真実】恐怖はメディアにとって強烈な商品だった
「本日の感染者は少なく、特に問題ありませんでした」
こんなニュースを毎日見たい人は少ない。
ところが、「感染爆発!」「過去最多!」「医療崩壊の危機!」「新たな変異株!」となれば、人はテレビを見る。スマホを開く。
米国主要メディアを分析した研究では、コロナ関連記事の多くがネガティブな内容だったとされている。
別にテレビ局が秘密会議を開いて、「国民を恐怖で支配しよう」と決めた必要などない。
怖いニュースの方が数字を取れる。
それだけでメディアは恐怖を増幅する。
政府が危機を発表する。メディアが大きく報じる。国民が怖がる。国民が政府へ「もっと対策しろ」と要求する。政府がさらに強い対策をする。
その対策をメディアがまた報じる。
こうして誰も司令官ではないのに、社会全体が一方向へ走っていく。
ここがコロナ騒動の一番怖いところなのかもしれない。

【かなり怪しい】なぜ誰も「もう騒ぎすぎでは?」と言えなかったのか
初期に厳しい対策を取ったことには十分な理由がある。
未知のウイルスだったからだ。
しかし時間が経てば、ウイルスの性質も分かる。ワクチンもできる。治療法も改善する。免疫を持つ人も増える。
それでも社会は、急には元へ戻らなかった。
理由の一つは政治だろう。
政治家にとって、「大丈夫だと思って規制を解除したら死者が増えました」は致命傷になる。
しかし、「念のため厳しく規制したが、大したことは起きませんでした」なら、「規制したから被害を防げた」と言える。
つまり非常時の政治には、やり過ぎる方が責任を取らずに済むという奇妙な力が働く。
誰かの陰謀ではない。
むしろ人間社会の仕組みそのものだ。
【かなり怪しい】社会統制の巨大な実験になったのではないか
ここから都市伝説との境界線に入る。
外出を控える。店を閉める。旅行をやめる。マスクを着ける。接種証明を見せる。海外渡航を制限する。学校を閉鎖する。
それまで自由だった行動が、短期間で一変した。
だから、「コロナは国民を服従させるための社会実験だった」という説が出てきた。
しかし、最初から社会実験として計画されていたことを示す確かな証拠はない。
ここは重要だ。
ただし、結果として世界各国の政府が「非常事態になったとき、人々はどこまで行動制限を受け入れるのか」という巨大な実例を得たことまで否定する必要はない。
これは陰謀ではなく、歴史的事実として非常に興味深い。

【かなり怪しい】武漢研究所説
そして最大の謎。
新型コロナはどこから来たのか。
当初、武漢研究所からウイルスが漏れたという説は「陰謀論」として扱われることも多かった。
ところが現在は少し違う。
WHOの2025年報告では、利用可能な証拠は動物から人間への自然感染をより強く示しているとしながらも、研究所事故を含む仮説を完全には排除していない。
しかもWHOは、中国側から初期患者の遺伝情報や、武漢の研究施設で行われていた研究、バイオセーフティーに関する十分な情報などが提供されていないとしている。
つまり、「研究所から漏れた」は確定していない。
しかし、「研究所説なんて完全なデマだ」と断定することもできない。
2026年になっても、まだ答えは出ていないのである。
【都市伝説】世界政府による人口削減計画
ここから先は証拠がない。
「最初から世界政府がパンデミックを計画していた」「ワクチンで人口を減らそうとしていた」「5Gでコロナが広がった」「ワクチンに追跡用マイクロチップが入っている」など、さまざまな話が生まれた。
だが、これらを事実として裏付ける信頼できる証拠は確認されていない。
巨大な出来事が起きると、人間は巨大な原因を探したくなる。
世界中が混乱したのだから、その裏には世界を操る巨大組織がいるはずだ――。
その方が物語としては分かりやすい。
しかし現実は、もっと気味が悪いのかもしれない。

【本当に怖いのは「黒幕がいない」ことではないか】
俺がコロナ騒動を振り返って一番興味深いのはここだ。
世界を操る秘密結社など存在しなくても、あの状況は起こり得る。
未知の病気が出現する。
政府は責任を恐れて強い対策をする。
メディアは恐怖を報じる。
国民はさらに恐怖する。
企業は新しい需要で利益を得る。
巨額の公金が投入される。
そのカネに業者や犯罪者まで群がる。
そして一度出来上がった制度は簡単には止まらない。
誰も世界全体を操っていない。
それぞれが、それぞれの立場で合理的に行動しているだけだ。
それなのに結果を見ると、まるで誰かが裏から世界を操っていたような光景になる。
もしかすると、これこそが「あのコロナ騒動」の正体だったのではないだろうか。
陰謀論より怖いのは、陰謀などなくても、人間社会は簡単にあそこまで動いてしまうという事実なのかもしれない。
【管理者が思うこと】
あの頃を振り返ると、病気そのものよりも、人間社会が一斉に同じ方向へ走っていく姿の方が怖かったように思う。もちろんコロナで亡くなった人もいるし、最初の警戒まで否定するつもりはない。
ただ、テレビが連日恐怖を煽り、政府が規制を強め、そこへ莫大な税金が投入され、企業には巨大な市場が生まれた。だからといって「全部仕組まれていた」と決めつけるのも違う。俺が一番怖いと思うのは、実は黒幕などいなくても、恐怖とカネと責任逃れが揃えば、社会はあそこまで簡単に動いてしまうということだ。
次に同じような騒ぎが起きたときは、周囲に合わせて怖がるだけではなく、「これは本当に必要なのか?」「誰が得をしているのか?」くらいは、自分の頭で考えていたい。