新型パジェロが2026年復活!なぜ7年間も待望されたのか?歴史と90年代RVブームを振り返る

2026年秋、三菱自動車の「パジェロ」が世界初公開される。三菱は新型パジェロを2026年度中に投入する方針だ。

新型SUVが1台増える。それだけなら、ここまで注目する話ではない。しかしパジェロの場合は少し事情が違う。1982年の初代登場から44年。その名前は三菱の一車種という範囲を超え、特に1990年代には日本のRVブームそのものを象徴する存在になっていた。

国内販売終了から7年。なぜ今になってパジェロを復活させるのか。そして、なぜ昔を知るファンは新型をこれほど待っていたのか。歴史を追うと、今回の復活が単なる懐古企画ではないことが見えてくる。


※画像はAIによる新型パジェロのイメージ・予想図です。実際の車両とは異なります。

パジェロは「四駆を普通の人が乗るクルマ」に変えた

初代パジェロが登場したのは1982年。当時の本格4WDには、現在よりも「山道や悪路を走るための特殊なクルマ」という印象が強かった。

そこへ三菱が投入したのが、悪路走破性を確保しながら、乗用車としての快適性や高速安定性も重視したパジェロだった。

今ではSUVで買い物へ行くことなど当たり前だが、当時としては本格四駆をレジャーや日常生活で使うという考え方自体が新しかった。

さらにパジェロの名前を世界へ押し上げたのがダカール・ラリーである。1983年から参戦し、1985年には日本車として初の総合優勝。その後も7連覇を含む通算12回の総合優勝を記録した。

つまりパジェロには、最初から「それらしい形をしたSUV」ではなく、実際に過酷な場所を走って結果を出してきたクルマという背景がある。

1991年、2代目パジェロが日本で大当たりする

パジェロが一部の四駆好きだけでなく、日本中に知られる存在になったのは1991年登場の2代目だった。

時代もちょうど良かった。スキー、キャンプ、マリンスポーツ、オートキャンプ。休日になると家族や仲間でクルマに荷物を積み、高速道路を走って郊外へ向かう。そんなレジャー文化が急速に広がっていた。

そこに大きなボディ、高い車高、本格的な4WD性能、それでいて街中でも普通に乗れるパジェロがハマった。

最盛期には国内だけで月7,000~8,000台が売れたという。現在の大型クロスカントリー車の感覚から考えると、かなり異常な数字である。

当時のスキー場の駐車場を思い浮かべると分かりやすい。ルーフキャリアにスキー板を載せたパジェロ。高速道路のサービスエリアにもパジェロ。住宅街にもパジェロ。

「四駆が必要だから買う」のではない。パジェロを買って遊びに行くこと自体が格好いい。そんな商品になっていた。

パジェロミニまで登場した「パジェロ王国」

人気は本家だけに収まらなかった。

1994年には軽自動車のパジェロミニ、1995年にはパジェロジュニア、1998年にはパジェロイオが登場。巨大な本格四駆を必要としない人まで「パジェロ」という名前の世界へ取り込んでいった。

ここまで来ると、もはや車名というよりブランドである。

現在の若い世代には想像しにくいかもしれないが、1990年代にはクルマに詳しくない人でもパジェロを知っているという時期が確かに存在した。

しかし、時代の方が変わってしまった

1999年に3代目、2006年に4代目が登場。パジェロ自身も進化を続けた。

ところが日本の自動車市場は大きく変わる。

ミニバンが普及し、ハイブリッド車が伸び、燃費や維持費への意識も高まった。SUV自体は後に再び大人気になるものの、その中心は日常利用しやすいクロスオーバーSUVへ移っていく。

皮肉なことに、パジェロが開拓した「四駆を日常で使う」という考え方が一般化した頃には、巨大で本格的なパジェロそのものは日本市場で居場所を失いつつあった。

そして2019年、国内向けパジェロの生産が終了。2021年には海外向けも終了し、1982年から続いた歴史はいったん途切れた。

世界170以上の国と地域で販売され、累計販売台数は325万台を超える。それだけの名前が、三菱の新車ラインアップから消えた。

三菱にはSUVがある。それでもパジェロがない

ここが面白い。

パジェロが終了したあとも三菱にはアウトランダー、デリカD:5、エクリプスクロスがあり、後にはトライトンも国内へ復帰した。

つまりSUVメーカーとしての三菱が消えたわけではない。

それでも古くからのファンにとって、「三菱にパジェロがない」ことは別問題だった。

トヨタにランドクルーザーが存在するように、パジェロは単なる商品ではなく、そのメーカーが何を得意としているのかを分かりやすく示す看板だったからだ。

実際、新型パジェロの開発責任者も、世界中に復活を熱望するファンがいること、その期待を超えられるのかという重圧があったことを明かしている。

2026年、新型は「名前だけのパジェロ」ではなさそうだ

そして2026年。三菱はパジェロの復活を正式発表した。

2026年9月2日に世界初公開される新型は、トライトンをベースとする強靱なラダーフレーム構造を採用する。

ここは重要である。

もし街乗り中心のクロスオーバーSUVを作り、そこへ「PAJERO」のエンブレムを付けただけなら、古参ファンから反発された可能性がある。

しかし今回の三菱は、本格クロスカントリー車としての構造を選んだ。
しかも単純なトライトンのSUV化ではない。三菱によれば、キャビンや前後サスペンションはパジェロ専用に開発されている。

さらに三菱の四輪制御技術S-AWCを組み合わせ、悪路走破性とオンロードでの快適性を両立させるという。

これは初代から続く「どんな道でも走れるが、普通の人が快適に乗れる」というパジェロの基本思想を、現代の技術で作り直そうとしているように見える。

なぜ「3連マルチメーター」まで復活させるのか

さらに興味深い装備がある。

歴代パジェロでは、ダッシュボード中央に方位や高度などを表示する「3連マルチメーター」が装備されていた。

冷静に考えれば、日常生活で高度や車体の傾きを頻繁に確認する人などほとんどいない。

しかし、そこがいい。

機能以上に「これからどこかへ行けそうだ」という気分を作る装置だった。

新型では、この3連マルチメーターの思想をデジタル表示として復活させ、高度、方位、外気温、車体のピッチ・ロール角、左右のトルク配分などを表示する。

つまり三菱自身が、新型パジェロを作るうえで性能だけではなく、「昔のパジェロに乗った時に感じたもの」まで拾い直している。

待っていたのはクルマなのか、それともあの時代なのか

新型パジェロが注目される理由を整理すると、少し別のものも見えてくる。

現在50代、60代になった人たちが2代目パジェロの全盛期を見ていた頃、日本ではクルマが今よりも大きな娯楽だった。

クルマを買ったら遠くへ行く。スキーへ行く。キャンプへ行く。意味もなくドライブする。

パジェロは、その時代の記憶と強く結び付いている。

だから、2019年の国内販売終了から7年、新型パジェロを待っていた人が欲しかったのは、単純に「性能の良い大型SUV」だけではないのかもしれない。

自分たちが若かった頃にワクワクした「パジェロ」という名前が、もう一度新車として売られること。

そこに意味がある。

問題は「昔のファン以外にも売れるか」

一方で、復活すれば成功が約束されているわけではない。

今の日本ではクルマの価格が上がり、燃料代も高い。若者のクルマとの付き合い方も1990年代とは違う。

そして現在のSUV市場にはランドクルーザーをはじめ、国内外に強力なライバルが揃っている。

新型パジェロが本当に成功したと言えるのは、昔のファンが「懐かしい」と喜んだ時ではない。

パジェロを知らない世代が、新型を見て「これに乗ってどこかへ行きたい」と思った時ではないだろうか。

2026年9月2日、その答えが見えてくる

新型パジェロは2026年9月2日に世界初公開される。

現時点では価格や詳細なパワートレインなど、まだ公表されていない情報も多い。そのため販売面での評価は正式発表を待つ必要がある。

ただし、ラダーフレーム、S-AWC、3連マルチメーターという現在判明している要素を見る限り、三菱が単に過去の有名車名を引っ張り出しただけではなさそうだ。

1982年に四駆をレジャーの道具へ変え、1990年代には日本のRVブームを代表し、その後市場から姿を消したパジェロ。

44年後の2026年、その名前がもう一度走り出す。
ここで注目したいのはスペック表だけではない。

あれほどクルマに夢中だった時代の象徴が、今の日本でも人をワクワクさせられるのか。

新型パジェロは、それを確認する一台にもなりそうである。

【編集者が思うこと】

アウトドア四駆といえば、やっぱり三菱パジェロだと思う。パジェロミニまであった時代を知っているだけに、消えていったのは少し寂しかった。だからこそ今回の復活は期待したい。名前だけではなく、「これぞ三菱」と言える一台を見せてほしい。

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