新型パジェロ2026が世界初公開!スペック判明、復活前の予想を答え合わせ

2026年9月2日、三菱自動車は新型「パジェロ」を世界初公開した。

この記事を最初に公開した2026年8月27日の時点では、まだ実車の全貌は明らかになっていなかった。

分かっていたのは、パジェロの名前が復活すること。トライトンのラダーフレームをベースにすること。そして、S-AWCや3連マルチメーターなど、歴代モデルを意識したクルマになることだった。

それから6日後。

実際に公開された新型を見ると、予想以上に「名前だけパジェロ」ではなかった。

2.4Lクリーンディーゼル、新開発8速AT、スーパーセレクト4WD-II、S-AWC、ラダーフレーム、3列7人乗り。そして歴代パジェロを意識したデザイン。

そこで今回は、1982年からの歴史を振り返りながら、公開前に分かっていたことと、2026年9月2日に正式判明したことを答え合わせしてみる。

新型パジェロ世界初公開前に制作したAI予想イメージ※2026年8月、世界初公開前にAIで制作した新型パジェロの予想イメージです。実際の車両とは異なります。

まず答え合わせ――新型パジェロは本当に復活した

2026年5月29日、三菱自動車は新型クロスカントリーSUVの車名を「パジェロ」とすることを正式発表した。

そして2026年9月2日、ついに新型パジェロを世界初披露。

単なるコンセプトカーではない。

市販を前提とした、三菱自動車の新しいフラッグシップモデルである。

生産拠点はタイ。2026年度はタイを皮切りに、日本、オーストラリアへ投入し、2027年度以降はASEAN、中南米、中東など世界約100カ国へ順次展開する計画だ。

日本では2019年に国内向け生産を終了しているため、7年ぶりにパジェロの名前が戻ってくることになる。

さらに三菱自動車の国内公式サイトでは、2026年10月1日から予約注文を開始すると案内されている。

2026年9月7日時点では、正式なメーカー希望小売価格はまだ公表されていない。

パジェロは「四駆を普通の人が楽しむクルマ」にした一台だった

初代パジェロが登場したのは1982年。

当時の本格4WDといえば、悪路や仕事で使う特殊なクルマというイメージが現在より強かった。

そこに三菱が持ち込んだのが、本格的な悪路走破性と、乗用車並みの快適性を一台にまとめるという考え方だった。

今ならSUVでスーパーへ買い物に行くことなど珍しくない。

しかし当時、本格四駆をレジャーや日常生活の道具として楽しむという発想は、まだ新しかった。

パジェロは、そのスタイルを日本へ広げた代表的な一台だった。

ダカール12勝という「本当に走った四駆」の看板

パジェロの名前を世界へ押し上げたのがダカール・ラリーである。

1983年から参戦し、1985年には日本車として初の総合優勝。

その後、7連覇を含む通算12回の総合優勝を記録した。

つまりパジェロは、単に「冒険っぽいデザイン」を売りにしたSUVではない。

実際に過酷な競技へ出て、ブランドイメージを作ってきたクルマだった。

1980年代のパジェロが砂漠ラリーを走るイメージ

1991年、2代目パジェロが日本で大当たりする

日本でパジェロが一部の四駆好きだけの存在ではなくなったのは、1991年登場の2代目だった。

スキー。

キャンプ。

マリンスポーツ。

オートキャンプ。

クルマへ道具を積み込み、休日になれば高速道路で郊外へ遊びに行く。

そんな1990年代のレジャーブームに、大きな車体、高い目線、本格4WD性能を持ちながら日常でも使えるパジェロが見事にハマった。

三菱自動車が2026年に公開した歴史記事によれば、1990年代前半には国内月販7,000~8,000台に達したという。

今の大型クロスカントリーSUVで考えると、とんでもない数字だ。

スキー場へ行けばパジェロ。

サービスエリアにもパジェロ。

住宅街にもパジェロ。

「四駆が必要だから買う」のではなく、

「パジェロを買って遊びに行くのが格好いい」

というところまで行った。

1990年代のスキー場に並ぶパジェロをイメージした風景

パジェロミニまで登場した「パジェロ王国」

人気は本家だけでは終わらない。

1994年に軽自動車「パジェロミニ」。

1995年に「パジェロジュニア」。

1998年には「パジェロイオ」。

巨大な本格四駆までは必要ない人まで、「パジェロ」という名前の世界へ取り込んでいった。

ここまで来ると、車名というよりブランドである。

今の若い世代には想像しにくいかもしれないが、当時はクルマに詳しくない人でもパジェロを知っている時代があった。

ところが、パジェロが作った時代にパジェロ自身が苦しくなる

1999年に3代目、2006年に4代目へ進化した。

ところが自動車市場の方が大きく変わっていく。

ミニバンが普及し、ハイブリッド車が増え、燃費や維持費が重視されるようになった。

その後SUV人気は再び大きくなるが、主役になったのは街中でも使いやすいクロスオーバーSUVだった。

これは少し皮肉だ。

パジェロが広げた「四駆を普通に使う」という文化が当たり前になった頃、本格クロカンであるパジェロ自身は重く、大きな存在になっていた。

2019年に日本向け生産が終了。

2021年には海外向け仕様も生産終了した。

1982年から続いた歴史はいったん途切れた。

2026年9月の三菱自動車発表では、初代から4代目までの累計生産台数は329万台超。170以上の国と地域で販売されてきたとしている。

歴代パジェロと最後の4代目パジェロをイメージした風景

では新型は「トライトンに屋根を付けただけ」なのか

復活話が出た当初、気になったのはここだった。

新型パジェロはピックアップトラック「トライトン」のラダーフレームをベースにする。

それだけ聞くと、

「トライトンをSUVにしてパジェロと名付けただけでは?」

と思いたくなる。

しかし三菱は2026年5月の段階で、キャビンと前後サスペンションをパジェロ専用に開発すると説明していた。

そして正式発表で内容がさらに分かった。

フロントはダブルウィッシュボーン式独立懸架。

リヤは新開発の5リンク式リジッドサスペンション。

単なる荷台を屋根付きボディへ交換したクルマではない。

三菱は「悪路快適性」という言葉まで使い、荒れた道を走れるだけではなく、そこで乗員が快適であることまで狙っている。

正式発表で判明――2.4Lディーゼル+新開発8AT

公開前の記事では、詳細なパワートレインはまだ分からなかった。

ここは正式発表で答えが出た。

搭載されるのは専用開発の2.4Lクリーンディーゼルエンジン。

ワイドレンジのシングルVGターボを採用し、最大トルクは480N・m。一部仕様では470N・mとなる。

組み合わされるトランスミッションも新開発のスポーツモード付き8速ATだ。

巨大な排気量で押す昔ながらの四駆ではなく、2.4Lディーゼルで低速トルクを稼ぎながら、多段ATで日常走行まで上質にする。

ここにも、新型が単なる懐古モデルではないことが表れている。

S-AWCとスーパーセレクト4WD-IIを両方積んできた

新型では「スーパーセレクト4WD-II(SS4-II)」を搭載する。

選択できるのは、

  • 2H:後輪駆動
  • 4H:フルタイム4WD
  • 4HLc:センターデフロック
  • 4LLc:ローギヤ+センターデフロック

の4モード。

さらに三菱の車両運動統合制御技術S-AWCを組み合わせる。

ドライブモードもNORMAL、ECO、GRAVEL、SNOW、MUD、SAND、ROCKの7種類。

今どきのSUVらしい電子制御を入れながら、その下にはローレンジまで備えた本格的な4WD機構がある。

「街で便利なSUV」と「山で使える四駆」を両方やる。

これはかなりパジェロらしい答えだと思う。

新型パジェロは思ったより巨大ではない

正式発表で車体寸法も判明した。

  • 全長:4,920mm
  • 全幅:1,925mm
  • 全高:1,910mm(20インチタイヤ装着車)
  • ホイールベース:2,870mm
  • 最低地上高:230mm(20インチタイヤ装着車)
  • 乗車定員:3列7人

もちろん日本の道路では十分大きい。

ただ、新型大型SUVが巨大化し続けている現在を考えると、三菱が「取り回しの良さ」を意識したという説明も分かる。

家族7人が乗れるクロスカントリーSUVというところも、昔のパジェロが持っていた「遊びにも家庭にも使える」という立ち位置をかなり意識しているように見える。

正式発表前に制作した新型パジェロのAI予想イメージ※世界初公開前に制作したAI予想イメージです。実車デザインを示すものではありません。

3連マルチメーターの予想は、本当に当たった

公開前から三菱が予告していた中で、個人的にかなり気になっていたのが3連マルチメーターだった。

歴代パジェロではダッシュボード中央に方位計や高度計などを配置していた。

冷静に考えれば、スーパーへ買い物に行く途中で標高を確認する必要などほとんどない。

でも、そこがいい。

「これからどこかへ行けそうだ」という気分を作る装置だった。

新型では物理的な3連メーターをそのまま置くのではなく、2枚の14.3インチ大型ディスプレイで構成するモノリスディスプレイの中へ現代版を組み込んだ。

高度、方位、温度、車体のピッチ・ロール角、AYC制御量などを表示する。

便利だから残したというより、パジェロに乗ったときの気分まで残そうとした装備に見える。

外観まで「昔のパジェロ」をかなり拾ってきた

実車公開前は、AIで角張ったクロカンを想像するしかなかった。

正式発表を見ると、三菱自身も歴代モデルをかなり意識していた。

全体は水平基調のスクエアなプロポーション。

Cピラーは初代パジェロのロールバーから着想。

リヤには、歴代モデルの背面スペアタイヤを思わせるヘキサゴン形状のモチーフを入れている。

つまり昔の車をそのまま復刻したわけではない。

昔のパジェロを知る人には「何となく分かる」程度に記号を散らしている。

このくらいがちょうどいい。

公開前の予想は、どこまで当たった?

この記事を8月27日に書いた時点の内容を、正式発表後に採点するとこうなる。

公開前に分かっていた・予想したこと 9月2日の答え
トライトン系ラダーフレーム 正式採用。パジェロ向けに改良
専用キャビン・サスペンション 正式採用。リヤは新開発5リンク式リジッド
S-AWC採用 正式採用
3連マルチメーター復活 デジタル版として正式採用
本格クロカン路線 SS4-II、4LLc、ラダーフレームで本格路線
パワートレイン 2.4Lクリーンディーゼル+新開発8ATと判明

こうして並べると、公開前に三菱が小出しにしていた情報はかなり核心を突いていた。

逆に正式発表まで分からなかったのは、パワートレイン、車体寸法、3列7人乗り、細かな安全装備などだった。

予想記事は正式発表されたら価値がなくなる――と思いがちだが、後から答え合わせすると、むしろ資料として面白くなる。

待っていたのはクルマなのか、それとも1990年代なのか

新型パジェロのスペックを見ていても、どうしても別の話が頭に浮かぶ。

現在50代、60代の人が2代目パジェロの全盛期を見ていた頃、クルマは今より大きな娯楽だった。

スキーへ行く。

キャンプへ行く。

夜中に意味もなくドライブする。

クルマを買うことと、どこかへ遊びに行くことがセットだった。

パジェロという名前は、その時代の記憶とかなり強く結び付いている。

だから古参ファンが待っていたのは、単に性能の良い大型SUVだけではないのかもしれない。

自分が若かった頃にワクワクした名前が、また新車のカタログへ戻ってくること。

そこにも大きな価値がある。

1990年代のパジェロと現代の新型パジェロを対比したAIイメージ※新型部分は世界初公開前にAIで制作した予想イメージです。

でも、懐かしいだけでは売れない

復活しただけで成功が約束されたわけではない。

日本では自動車価格も燃料代も高くなった。

1990年代のように、大型四駆が月7,000~8,000台売れる時代でもない。

ランドクルーザーをはじめ、世界中に強力なSUVが存在する。

新型パジェロが本当に成功したと言えるのは、50代や60代が、

「懐かしい!」

と喜んだときだけではない。

昔のパジェロを知らない世代が、新型を見て「これに乗ってどこかへ行きたい」と思ったとき。

そこが本当の勝負だろう。

実は「パジェロ一台の復活」で終わらない可能性がある

さらに気になる公式発言がある。

三菱自動車は2026年5月に発表した中長期ビジョンで、新型パジェロだけでなく、今後「パジェロ」シリーズとして新しい商品を追加投入する方針を明らかにしている。

9月2日の正式発表でも、新型パジェロを「この後に続くパジェロシリーズ」を牽引する存在と位置付けた。

ただし、現時点で具体的な車種名やサイズ、パジェロミニ復活などが発表されたわけではない。

ここから先は予想になる。

でも三菱が「パジェロ」という名前を、たった一台の懐古モデルで終わらせるつもりではないことは確かだ。

これは新型本体以上に、今後ちょっと面白くなりそうである。

2026年9月現在――次の注目点は価格と日本仕様

9月2日の世界初公開によって、クルマの正体はかなり分かった。

そして国内公式サイトでは、10月1日から予約注文開始と案内されている。

次に知りたいのは、やはり日本でいくらになるのかだろう。

2026年9月7日時点では、正式価格はまだ確認できない。

装備やグレード構成など、日本仕様の細部についても今後明らかになる部分が残っている。

だからこの記事も、ここで完成ではない。

価格発表。

予約開始。

そして実際の発売。

そのたびに、また答え合わせをしていきたい。

結論――復活したのは「名前」だけではなかった

公開前、一番心配だったのはこれだった。

有名だった「PAJERO」の名前だけ復活させ、中身は普通のSUVになるのではないか。

正式発表を見る限り、その心配はかなり小さくなった。

ラダーフレーム。

SS4-II。

S-AWC。

クリーンディーゼル。

悪路用の4LLc。

そして、少々無駄にも見える3連マルチメーター。

三菱は「昔パジェロだった名前」を復活させたのではなく、「パジェロらしさとは何だったのか」をかなり真面目に拾い直した。

あとは、それが2026年の日本で本当に欲しいクルマになっているのか。

そこはスペック表ではなく、これから市場が答えを出す。

【編集者が思うこと】

8月にこの記事を書いたときは、まだ新型の全貌は見えていなかった。それから数日で本物が出てきた。

個人的には、ラダーフレームもS-AWCも大事だけど、3連マルチメーターをわざわざ現代版にして残したところが一番好きだ。

高度なんかスマホでも分かる。方角もナビで分かる。それでも「四駆なんだから、こういうのが欲しいだろ」と残す。

クルマには、合理性だけでは説明できない無駄が少しくらいあった方が面白い。

パジェロミニまで街中を走り回っていた時代を知っている人間としては、新型が売れるかどうか以上に、「三菱=パジェロ」という看板がもう一度どこまで復活するのかを見てみたい。

参考資料

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