「事故る気がする」と思ったら本当に事故った。これは予知なのか?

高速道路を走行中、前方の車を見て「なんとなく危ない」と感じた。その数分後、前の前を走っていた車が突然スリップし、車体を右側へ向けた状態で停止した。

単なる偶然なのか。それとも、人間には事故を事前に察知する能力があるのか。

いわゆる「予知」と呼ばれる現象について調べていくと、超能力とは少し違った、人間の脳の面白い性質が見えてくる。

「事故る気がする」は予知なのか

まず重要なのは、事故が起きたあとに「そういえば嫌な予感がしていた」と感じたのか、それとも事故が起きるから本当に危険を意識していたのか、という違いだ。

後者であれば、少なくともデジャヴとは違う。デジャヴは、起きている出来事に対して「以前も経験した気がする」と感じる現象であり、未来を予測しているわけではない。

今回のように「この車、危ないかもしれない」と事前に感じた場合、科学的には予知よりも直感的な危険予測として考えるほうが自然だ。

脳は意識より先に異変を拾っている

運転中、人間は意識している以上に大量の情報を処理している。

前方車両のわずかなふらつき、速度の変化、車間距離、タイヤの動き、路面状態、周囲の車の反応。ひとつひとつは気にならなくても、それらが組み合わさることで、脳が「いつもと違う」と判断することがある。

ところが、その判断過程そのものは意識には上がってこない。

結果だけが、「なんとなく嫌な感じがする」という形で出てくる。

つまり本人からすれば根拠のない予感でも、脳の中ではすでに複数の情報から未来を予測していた可能性がある。

人間の記憶は、意外と信用できない

もうひとつ無視できないのが、記憶の問題だ。

人間の記憶は映像データのように完全保存されているわけではない。出来事が起きたあとに、その結果と整合するよう記憶の細部が変化することがある。

事故を目撃したあと、「そういえば少し前から危ないと思っていた」と記憶が強調されることもあり得る。

このため予知体験を検証するなら、最も強い材料になるのは出来事が起きる前の記録である。

たとえば同乗者に「前の車、なんか危ないぞ」と話していた、あるいはスマートフォンなどに記録していたのであれば、「後から作られた記憶」という可能性はかなり低くなる。

予知夢も同じ問題を抱えている

予知夢も構造は似ている。

人は大量の夢を見る。その中には事故、病気、再会、災害など、現実で起こり得る場面も数多く含まれる。

その後、現実で似た出来事が起きれば「夢で見た」と強く記憶される。一方で、何も起きなかった大量の夢は忘れられていく。

そのため、予知夢を本当に調べるなら、夢を見た直後に内容と日付を記録し、当たった夢だけでなく外れた夢も含めて比較する必要がある。

未来は見えなくても、未来を読むことはある

現在の科学では、人間が未来の出来事そのものを超能力的に見ていると確認された証拠はない。

しかし、それだけで「予感は全部気のせい」と片付けるのも少し違う。

人間の脳は、周囲の変化から数秒後、数分後に起こりそうなことを常に予測している。

熟練した運転手が危険な車を早めに避けたり、スポーツ選手が相手の動きを先読みしたりするのも、未来そのものを見ているのではなく、経験と無意識のパターン認識から次の展開を読んでいるからだ。

高速道路で感じた「事故る気がする」という感覚も、もしかするとその一種だったのかもしれない。

結論:予知より、脳のほうが不思議だった

予知能力が存在するかどうかは、今のところ科学的には証明されていない。

しかし人間には、本人が理由を説明できないまま危険を察知することがある。

それを全部「偶然」と呼ぶのも簡単だが、実際には脳が先に異変を拾い、本人より早く結論を出していた可能性もある。

未来が見えたのではなく、脳が未来を計算していた。

そう考えると、予知能力よりも人間の脳のほうが、よほど不思議なのかもしれない。

【編集者が思うこと】

いい予知夢なら大歓迎なんだけどね。事故を予知して回避できれば命は助かる。でも本音を言えば、株価とか宝くじとか「明日これが上がる!」のほうを見せてほしい。もっとも、そんな能力が本当にあったら、未来を救うより先に金儲けに使う人間だらけになりそうだ。俺もたぶん、そっち側。

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