DaVinci Resolve 20.1の新機能を解説|実際に便利な改善点とは

映像編集ソフト「DaVinci Resolve」。私も動画編集で使用しています。

2025年8月7日、Blackmagic Designは「DaVinci Resolve 20.1」を発表しました。

20.0から20.1なので、一見すると単なる不具合修正版にも見えます。しかし実際には、Apple Immersive Videoへの対応をはじめ、Fusion、カラー、Fairlight、通常の編集操作までかなり広範囲に手が入っています。

この記事ではBlackmagic Designが公開した公式の「DaVinci Resolve 20.1 New Features Guide」をもとに、新機能を全部羅列するのではなく、「普通に動画を編集している人間にとって、どこが便利になったのか」という視点で整理します。公式ガイドは54ページあります。全部読むのは、なかなか骨が折れます。

DaVinci Resolve 20.1 New Features Guide(Blackmagic Design公式PDF)

※2026年9月追記
DaVinci Resolve 20.1は現在の最新版ではありません。Blackmagic Designはその後20.2などを経て21系へ移行しており、2026年9月現在は21.0.3が公開されています。本記事は「20.1で追加された機能」を確認するための資料として更新しています。

1.実は20.1最大の目玉は「Apple Immersive Video」

元々20.1でBlackmagic Designが大きく打ち出したのが、Apple Vision Pro向けのApple Immersive Videoワークフローです。

macOS版DaVinci Resolve Studioでは、Blackmagic URSA Cine Immersiveで撮影した映像について、編集、カラーグレーディング、FusionによるVFX、空間オーディオのミキシング、書き出しまでResolve内で行えるようになりました。

専用のイマーシブビデオビューアーも搭載され、2Dモニター上でパン、ティルト、ロールして映像を確認したり、Apple Vision Proへ直接映像を送ったりできます。

Blackmagic Design「DaVinci Resolve 20.1」公式発表

とはいえ、YouTube動画を普通に作っている人には、今すぐ必要な機能ではありません。

むしろ面白いのはここです。

20.1は「Vision Pro用の特殊アップデート」に見えて、一般ユーザー向けの細かな改善がかなり大量に混ざっていました。

私はこっちの方が気になります。

2.普通の編集者にも効く地味に便利な改善

Shift+Spaceでエフェクト検索

20.1では、FusionだけでなくCut、Edit、Color、FairlightページでもShift+Spaceでエフェクト検索を呼び出せるようになりました。

クリップを選択した状態なら、検索結果からエフェクトを適用することもできます。

さらに、英語だけではなくDaVinci Resolveで設定している表示言語でもエフェクトを検索できるようになっています。

派手なAI機能ではありません。

しかし、編集作業では「どこにあったっけ?」とメニューを探している時間が意外と積み重なります。

こういう1回数秒の短縮を何十回も繰り返す改善の方が、毎日使う人にはありがたかったりします。

縦型動画用レイアウトも改善

小型ディスプレイ、デュアルディスプレイ、縦型動画編集時のUIレイアウトも改善されました。

YouTube Shorts、Instagram Reels、TikTokなど9:16の動画を作る場合、従来の横長映像前提の編集画面ではビューアー周辺が窮屈になりがちです。

20.1では、この縦型編集環境にも手が入りました。

映画制作のためのソフトという印象が強かったDaVinci Resolveが、縦動画制作までかなり意識するようになったのは興味深いところです。

3.Fusionはかなり本格的に強化

従来記事でも紹介した通り、Fusionには複数の改善が追加されています。

ディープコンポジットをディスクへキャッシュ

ディープコンポジットをディスクへキャッシュできるようになりました。

複雑なVFX合成を扱うユーザーにとって、メモリだけに依存しない処理方法を選択できることは大きな改善です。

クリップコンポジションをタイムライン解像度へダウンスケール

高解像度素材を使用したFusionコンポジションを、タイムライン解像度に合わせて処理するオプションも追加されています。

高解像度素材を扱っているからといって、編集途中のすべての処理を常に素材本来の解像度で行う必要があるとは限りません。

編集時の負荷と最終画質を分けて考えられる、実務寄りの機能です。

Magic Mask v2がFusionにも

Magic Mask v2もFusionで利用できるようになりました。

さらにディープイメージコンポジットでは、DoD(Domain of Definition)とRoI(Region of Interest)のサポートが改善されています。

USD Rendererのオーバースキャン改善や、インスペクターのコンテキストメニューから個々のツールコントロールを編集できる機能なども追加されました。

このあたりになると一般的なYouTube編集では出番が少ないものの、「Resolveは編集ソフトにFusionがおまけで付いている」のではなく、VFXまで一つの環境へ飲み込もうとしていることがよく分かります。

4.Colorページにも実用的な変更

Colorページでは、ビューアーからタイムライン解像度を切り替えられるようになりました。

また、コピーしたバージョンやタイムラインのキャッシュ保持、Magic Maskの保持についても改善されています。

ACES 2.0 Coreに対応したDCTLもサポートされました。

映画やCMクラスの高度なカラーワークをしないユーザーにはACESやDCTLは少々遠い世界ですが、Resolveがプロ向けカラー環境を継続的に強化している部分でもあります。

5.Fairlightは「音声編集ソフト」としてさらに強化

Fairlightにもかなり手が入っています。

Apple Spatial Audioフォーマットへの対応、タイムラインの半速再生、AI Dialogue Matcher、32bit浮動小数点録音、タイムライン上の波形再生成などが追加・改善されました。

AI Audio Assistantについても、短いクリップの解析などが改善されています。Apple Spatial Audio関連など一部はStudio版向け機能です。

動画編集というと映像ばかり注目しがちですが、YouTube動画でも「素人っぽく見える原因」は映像より音だったりします。

ResolveがFairlightを別ソフト並みに作り込んでいる理由も、この辺にあるのでしょう。

6.対応フォーマットも増えている

20.1では地味ながらコーデックやファイル形式にも変更があります。

Blackmagic RAW 5.0 SDKへの対応、WebP画像のデコード/エンコード、DNxの12bit対応、MXF Op1A内のH.264・H.265エンコード、Samsung APVクリップのデコードなどが追加されています。

新機能紹介記事ではAIや派手なエフェクトに目が行きますが、仕事で映像を扱う場合、

「そのファイル、そもそも読めるのか?」

の方が重要だったりします。

対応形式が増えるアップデートは地味ですが、現場では馬鹿にできません。

7.20.1.1、20.2、そして21へ

20.1の公開後も更新は続き、2025年8月26日には20.1.1が公開され、Blackmagic Cloudプロジェクトの読み込みやコピー&ペースト、FusionでのPSD読み込みなどが改善されました。

さらに同年9月には20.2が公開され、Apple ProRes RAW対応なども追加されています。

そして現在はDaVinci Resolve 21世代です。

つまり、今から新しく導入する人に「20.1へアップデートしましょう」という記事ではありません。

一方で、20.1で登場した機能の多くはその後のResolveにもつながっています。

古いバージョンの記事は「もう役に立たない」のではなく、ソフトがどこで変化したのかを調べる資料として残す価値があると考えています。

8.結局、20.1で一番ありがたかったのは何だったのか

Apple Immersive Videoは技術的には20.1最大のニュースでした。

しかし、大多数の編集者が毎日Apple Vision Pro用映像を作るわけではありません。

普通の動画制作者にとっては、

エフェクト検索、キーフレーム操作、縦動画レイアウト、Fusionの負荷対策、音声編集の改善。

こうした地味な部分の方が恩恵を感じやすいでしょう。

ソフトのアップデートというと「AIでこんなことができるようになった!」という派手な機能ばかり宣伝されます。

ところが実際の編集では、1クリック減った、検索が速くなった、重い処理を少し扱いやすくなった――そんな変更の方が作業時間を削ってくれます。

DaVinci Resolve 20.1は、まさに「派手な新機能より、地味な改善を拾うと面白いアップデート」だったと言えそうです。

【編集者が思うこと】

動画編集ソフトの新機能を見ると、ついAIや特殊効果ばかり気にしてしまいます。でも実際に編集していると、欲しいのは「革命」より「面倒を1個減らしてくれ」だったりします。

Shift+Spaceで探せる。縦動画が少し編集しやすい。キャッシュが使いやすくなる。

こういう改善は広告映えしません。でも毎週、毎月使う人間には効いてくる。

編集ソフトの進化って、案外こういう地味なところを見る方が面白いのかもしれません。

参考資料

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