人手不足なのにパート面接に落ちるのはなぜ?――企業が欲しい時間と主婦が働きたい時間のズレ

人手不足なのにパート面接に落ちるのはなぜ?――企業が欲しい時間と主婦が働きたい時間のズレ

スーパー、飲食店、介護、清掃。どこへ行っても「人手不足」という話を聞く。それなのに、パートの面接を何度受けても採用されない。「こんなに人が足りないのに、なぜ自分は落とされるのか」と思う人もいるだろう。

年齢が高いからなのか。学歴なのか。長く専業主婦だったブランクなのか。それとも面接で何か失敗したのか。もちろん、それらが気になる人は多い。しかし最近の採用市場を見ると、もっと基本的なところでズレているケースがある。企業が欲しいのは単なる「人」ではなく、「必要な曜日・必要な時間に働ける人」だからだ。

人手不足でも「平日の昼」が不足しているとは限らない

マイナビの調査では、アルバイトの人手不足感は以前より弱まっているものの、2026年3~4月でも「不足」が「過剰」を上回る状況が続き、飲食・宿泊、小売、医療・福祉などでは人手不足感が高い。つまり、人手不足そのものは確かに存在する。

ところが2025年のアルバイト採用を振り返った企業調査では、コンビニ・スーパーなどの販売・接客で「人数は足りているがシフトが埋められなかった」が19.3%となり、業種内で最も多い採用課題となっている。

昼はスタッフが多い一方、夕方は客が増えて人手が不足しているスーパーのイメージAI生成によるイメージ。実在の店舗・企業や調査対象者を再現したものではありません。

ここを勘違いすると、「人手不足なのだから採用されやすいはず」という話になる。だが、店側から見れば、平日午前に5人応募してきても、足りないのが土曜夕方なら問題は解決しない。

「人手が足りない」と「あなたが働ける時間に人が足りない」は、まったく別の話なのである。

主婦が働きたい条件は、どうしても似てくる

一方、求職する側にも事情がある。リクルートの「求職者の動向・意識調査2023」では、仕事を探していた専業主婦・主夫の場合、希望する勤務日数は週3日が37.0%で最多。1日の勤務時間も4~6時間の仕事が最も多く探されていた。また、勤務日数、勤務時間帯、勤務時間数は仕事選びの重要な条件になっている。

特に子どもがいる家庭なら、この条件は当然だろう。朝は家族を送り出し、夕方には帰宅したい。学校行事もある。土日は家族の予定が入る。本人のわがままというより、家庭を維持しながら働こうとすれば、勤務可能時間が自然に絞られる。

問題は、同じような家庭事情を持つ人も、似た時間帯を希望することだ。

日中に働きたい主婦と早朝や夕方に人手を必要とする店舗の勤務時間ミスマッチを表したイメージAI生成による概念イメージ。実際の求人条件や特定企業のシフトを示したものではありません。

「主婦が働きやすい時間」は、「企業が最も人を欲しがっている時間」とは限らない。場合によっては、むしろ応募者が集中する時間帯になる。

「週3日OK」「シフト応相談」だけを見て応募するとズレる

求人広告には「週3日~」「1日4時間~」「シフト応相談」「主婦歓迎」と書かれていることがある。これだけを見ると、自分にも条件が合っているように見える。

しかし、「週3日なら何曜日でもよい」という意味とは限らない。店側が本当に欲しいのは「金曜夕方を含む週3日」かもしれないし、「土日のどちらかに入れる人」かもしれない。「主婦歓迎」も、主婦なら無条件で歓迎するという意味ではない。

求人票だけですべてのシフト事情を読み切れるとは限らない。既存スタッフの休み、学生アルバイトが少ない曜日、繁忙時間帯など、応募後や面接で具体的な不足時間が分かるケースもある。

したがって、求人を見るときは時給や仕事内容だけでなく、少なくとも曜日、開始・終了時間、土日祝、残業の可能性まで確認した方がよい。

年齢や学歴ばかりを原因にすると、次の面接でも同じことが起きる

何度か不採用になると、「40代だから」「50代だから」「高卒だから」「長く仕事をしていなかったから」と考えやすい。実際、職種によって経験やPC操作、接客能力などは評価されるため、職歴や能力が一切関係ないとは言えない。

一方、募集・採用で年齢を理由に制限することは、法律上、原則として禁止されている。求人票では年齢不問としておきながら、実際の書類選考や面接で年齢を基準に採否を判断することも、原則として認められていない。

面接では勤務条件だけでなく、受け答え、身だしなみ、仕事への理解、長く続けられそうかといった点も総合的に見られる。

ただし、勤務条件そのものが合っていなければ、その先の能力比較に入る前に採用候補から外れることもある。そこを確認せず、「自分は年だから」「頭が良くないから」と考えて別の似た求人へ応募すると、同じ不採用を繰り返す可能性がある。

応募ボタンを押す前に、自分の「勤務可能表」を作る

パート探しを始める前に、求人を探すことより先に、自分が本当に出せる条件を整理した方がいい。

  • 週に何日まで確実に働けるか
  • 何時から何時までなら無理なく続けられるか
  • 土曜・日曜・祝日はどこまで可能か
  • 学校行事や家族の事情で休みが必要になる頻度
  • 通勤に使える時間
  • 月にいくら程度働きたいか

そして求人票と比べる。100%一致する必要はないが、店側が欲しそうな条件と、自分の絶対条件が正反対なら、その求人は最初から勝率が低い。

求人情報を見ながら自分が働ける曜日や時間をノートに整理する主婦のイメージAI生成によるイメージ。応募前に勤務可能な曜日や時間を整理する場面を表現しています。

何度も落ちているなら、求人を増やす前に相談してみる

自分で条件整理するのが難しい場合には、ハローワークやマザーズハローワークを使う方法もある。厚生労働省によれば、マザーズハローワーク・マザーズコーナーでは、現在の状況や希望を聞いたうえで一人ひとりに合った仕事探しを支援し、必要に応じて企業へ求人条件を確認してから紹介を行っている。

ここで重要なのは、「ハローワークなら受かりやすい」という話ではない。自分一人で求人広告を見て応募する方法と違い、第三者と「この勤務条件なら、どの求人と合うのか」を整理できる点に意味がある。

条件の合わない求人を10件受けるより、自分が実際に働ける条件を一度整理して、合う求人を3件受けた方が合理的だ。

人手不足なのに落ちる。その理由は、必ずしも「働く能力がない」からではない。企業が埋めたいシフトと、自分が提供できる時間が違っているだけかもしれない。パート面接を受ける前にまず確認すべきなのは、自分の年齢や学歴よりも、「私はいつなら確実に働けるのか。そして、その時間を本当に欲しがっている職場なのか」なのである。

【編集者が思うこと】

何回も落ちると、「年齢かな」「学歴かな」「長く主婦をやっていたからかな」と、だんだん自分の価値まで低く考えてしまう。でも、店が欲しいのが土曜の夕方で、自分が出られるのが平日の昼だけなら、これは能力以前の話だと思う。俺なら、求人サイトで次から次へ応募する前に、一度、自分が出せる曜日と時間を全部書き出す。それでも分からなければハローワークで聞けばいい。闇雲に10回落ちるより、自分が勝負できる求人を探す方がよほど近道ではないだろうか。

参考資料

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