1995年。
円谷プロは、来たる21世紀に向けて新しいウルトラマンを送り出した。
ウルトラマンネオス。
そして、ウルトラセブン21。
名前からして気合十分である。
特にセブン21なんて、もう「次の時代のセブンは俺だ」と言わんばかりだ。
ところが翌1996年。
テレビに現れ、日本中の子供たちを夢中にさせた新しいウルトラマンの名前は――
ウルトラマンティガ。
あれ?
ネオスは?
セブン21は?
21世紀を背負うはずだった二人は、どこへ行ったんだ。
なんとも円谷プロ、先走ってしまった感がある。
ネオスとセブン21は1995年にライブステージなどでデビューし、翌年にはパイロット映像まで制作された。本格的なテレビシリーズを想定した企画だったが、結局その形では実現しなかった。円谷プロ自身も、ネオスの企画が後の平成ウルトラシリーズにつながる「礎」になったと説明している。
そして歴史はティガへ向かった。

これが実に残酷だ。
ティガは大成功し、ダイナ、ガイアへと続いて「平成ウルトラマン」という巨大な歴史を作る。
一方、ネオスとセブン21は、
「そういえば、そんなウルトラマンいたよね」
という妙な場所に取り残されてしまった。
しかも設定を見ると、さらに時代のズレを感じる。
ネオスはM78星雲・光の国の宇宙警備隊、その中でも勇士司令部に所属する戦士。つまり初代ウルトラマンから続く世界観の延長線上にいる。
セブン21も同じ光の国側の戦士である。
ネオスが「平成版ウルトラマン」なら、セブン21は名前通り「21世紀版ウルトラセブン」。
要するに円谷プロは、
初代マンとセブンを平成仕様に作り直して、新時代へ突入しようとした。
ところが実際に平成を代表するヒーローになったティガは、M78星雲でもウルトラ兄弟でもない。
超古代の「光の巨人」という、まったく別方向へ飛んでいった。

結果としてネオスとセブン21は、
「平成ウルトラマンを作ろうとしていたら、本物の平成ウルトラマンが別ルートから現れてしまった」
という、とんでもなく気まずい立場になったのである。
だったら黒歴史なのか?
いや、そこが面白い。
円谷プロは二人を消さなかった。

2000年になってOVA『ウルトラマンネオス』全12話を制作。1995年の登場から約5年越しで、ようやく本格的な映像シリーズの主役となった。
さらに2020年の『ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀』では、なんとネオスとセブン21がそろって復活。
ウルトラマン80、コスモス、ジャスティスらと共に怪獣軍団と戦っている。

つまり公式から存在を抹消されたどころか、
今でもちゃんとウルトラ戦士として現役なのである。
なら、この二人を何と呼べばいいのか。
俺なら、
「黒歴史」ではなく「早すぎた平成ウルトラマン」
と呼びたい。
1995年に「21世紀」を名乗ってしまったセブン21。
しかし21世紀になる前にティガ、ダイナ、ガイアが登場し、21世紀最初のテレビシリーズはコスモスになった。
セブン21さん。
完全に名前が先走っている。
だが、それも含めて味がある。
もしネオスのテレビシリーズが予定通り実現していたら、平成ウルトラマンの歴史はまったく違っていたかもしれない。
ティガが生まれなかった可能性すらある。
そう考えるとネオスとセブン21は、ウルトラ史の失敗作ではない。
成功した歴史の横に残された、もう一つの可能性なのだ。
円谷プロ、ちょっとやっちまった。
しかし、その「やっちまった企画」さえ30年後まで生かしてしまう。
そこがまた、ウルトラシリーズらしいのである。
【管理者が思うこと】
こういう時代を先走ってしまったキャラこそ、後になって妙に味が出て、伝説になっていくんですよ! 当時はティガの陰に隠れてしまったネオスとセブン21。でも、消されることなく何度も復活しているところを見ると、円谷プロにとっても捨てきれない存在なのですよ。むしろ今見ると、この“報われなさ”まで含めてカッコいい。こういうウルトラマン、私は大好き!