次期レイバックは“ほぼアウトバック”になる?――スバルが30年後に同じSUVを作り直す理由

日本からレガシィ アウトバックが消えた。だが、アウトバックというクルマそのものが消滅したわけではない。北米では2025年に7代目が発表され、むしろ以前よりSUVらしい姿へ進化している。

そんななか、自動車情報誌『ベストカー』2026年9月26日号が興味深い予想を掲載した。次期レヴォーグ レイバックが大型化し、日本で販売を終えたアウトバックの後継的な役割を担うというのである。誌面では2028年ごろの登場を予想し、ターボとS:HEVの設定にも言及している。

もちろん、これはSUBARUが発表した次期型情報ではない。しかし現在までに確認できる事実を並べると、「アウトバックの車名は戻らなくても、その役割がレイバックへ移る」というシナリオには意外なほど筋が通っている。

アウトバックは日本で終了したが、世界では終わっていない

まず整理しておきたい。日本仕様のレガシィ アウトバックは、2025年3月末までの受注をもって販売を終了した。一方、北米では2025年4月に新型アウトバックが世界初公開され、7代目へ移行している。

しかも7代目は従来以上にSUV色が濃い。米国仕様の主要グレードでは、ボディサイズは全長191.7インチ、全幅74.0インチ、全高67.5インチ。換算すると約4869×1880×1715mmで、ホイールベースは約2746mm、最低地上高は約221mmとなる。

日本で最後に販売されたアウトバックも決して小さくなかったが、新型はもはや「ステーションワゴンを持ち上げたクルマ」というより、堂々としたミドルサイズSUVに近い。

従来型アウトバックと新型アウトバックのSUV化を比較した概念イラスト従来型から新型へのデザイン変化をイメージしたAI生成の概念イラスト。実際の車両デザインを正確に再現したものではない。

日本へそのまま持ってくれば全幅1880mm。使用環境によって評価は変わるものの、狭い立体駐車場や住宅街まで考えると、誰にでも扱いやすいサイズとは言いにくい。北米で成功しているアウトバックを、そのまま日本へ戻す必要があるのかという問題が出てくる。

そこに、最初から「日本専用」のレイバックがいる

レヴォーグ レイバックは2023年に登場した。SUBARUは公式に、レヴォーグが持つ「先進安全・スポーティ・ワゴン価値」にSUVの自在性と上質さを加えた、日本市場向けモデルと説明している。

ここが重要である。フォレスターやクロストレックのようなグローバルSUVとは違い、レイバックは最初から日本の道路環境や需要を意識した存在だった。

そして2026年7月には、2.5L水平対向エンジンと2モーターを組み合わせたストロングハイブリッド、S:HEVまで追加された。S:HEV仕様のサイズは4735×1820×1550mm。北米アウトバックより幅を60mm抑えながら、ワゴンよりSUVに近い使い方ができる。

つまり日本にはすでに、「アウトバックほど巨大ではない長距離型クロスオーバー」が存在している。それがレイバックなのである。

スポーツワゴンからクロスオーバーSUVへ変化する車体構成の概念イラストレヴォーグ、レイバック、アウトバックの立ち位置の違いを視覚化したAI生成イメージ。実車の比較写真ではない。

実は30年前と、ほぼ同じことをやっている

ここからが、この話で最も面白い部分だ。

アウトバックの始まりを振り返ると、もともとは専用SUVとして生まれた車ではない。日本では1995年、レガシィ ツーリングワゴンをベースとした「レガシィ グランドワゴン」として登場した。海外名がアウトバックである。その後、日本ではランカスターを経て、2003年から世界共通のアウトバックという名称になった。

構造を単純化すると、当時SUBARUがやったことはこうなる。

レガシィ ツーリングワゴンをベースに、車高を上げ、SUVとしての走破性と外観を与え、新しいクロスオーバーを作った。

では現在はどうか。

レヴォーグをベースに、最低地上高を確保し、SUVとしての自在性と上質さを与えてレイバックを作った。

やっていることが、驚くほど似ている。

1990年代と現在のワゴンからクロスオーバーSUVへの進化を比較した概念イラスト1990年代と現在に見られる「ワゴンをクロスオーバー化する」という発想を比較したAI生成イメージ。特定年式の実車を正確に再現したものではない。

「レガシィを捨てて、レヴォーグでもう一度アウトバックを作る」可能性

そう考えると、『ベストカー』が報じた次期レイバック大型化説の見え方が変わってくる。

単に「レイバックが大きくなる」という話ではない。現行レイバックがアウトバックの担っていた領域へ少しずつ進み、次期型でその役割をほぼ吸収する可能性がある、ということだ。

日本ではレガシィ ツーリングワゴンが2014年に終了し、B4も2020年に販売を終えた。最後まで「レガシィ」を名乗っていたアウトバックも2025年に終了したため、現在の国内ラインアップにレガシィシリーズは存在しない。

ならば、わざわざ「レガシィ アウトバック」を復活させなくてもいい。日本向けに育ててきたレイバックを拡大し、アウトバックが持っていた長距離巡航性、積載性、AWD、上質さを引き継がせれば、商品構成はむしろ分かりやすい。

レヴォーグ=スポーツワゴン、レイバック=上級クロスオーバー。この二本立てなら、現在のSUBARUの商品体系にも収まりがいい。

S:HEV追加は、次期型への布石にも見える

さらに気になるのが、2026年になって現行レイバックへS:HEVが追加されたことだ。

SUBARUのストロングハイブリッドは、2.5L水平対向エンジンと駆動用・発電用モーターを組み合わせるシリーズ・パラレル方式。すでにクロストレック、フォレスターへ展開され、レイバックが3車種目となった。

現行型の商品力強化だけと見ることもできるが、次期レイバックが2028年前後に登場すると仮定すれば、S:HEVを今のうちにレイバックへ展開しておくことには意味がある。次世代でも電動パワートレーンを中心に据えやすくなるからだ。

『ベストカー』誌面では、次期型についてS:HEVとターボの二本立てを予想している。ただし、この部分は現時点ではあくまで予想情報であり、SUBARUから正式発表されたものではない。

2.4Lターボまで来れば、本当にアウトバック級になる

北米向け7代目アウトバックには、2.5L自然吸気に加えて2.4L直噴ターボが設定される。最高出力は260hp。日本でも同系統のFA24ターボはWRX S4に使われているため、技術的に未知のエンジンではない。

ただし、次期レイバックへの2.4Lターボ搭載を現段階で確定扱いすることはできない。価格、燃費、販売台数、フォレスターやWRX S4との棲み分けまで考えれば、2.5L S:HEVのほうが日本市場では現実的に見える。

逆に2.4Lターボまで設定されれば、レイバックはもはや「レヴォーグのSUV版」という説明だけでは収まらない。日本仕様アウトバックが空けた上級クロスオーバーの席へ、本格的に座ることになる。

次期レイバックが大型クロスオーバーワゴンへ発展した姿を想定したイメージ次期レイバックの方向性を記事内容から想像したAI生成のコンセプトイメージ。SUBARUが公表した次期型デザインや公式予想図ではない。

アウトバックの名前が消えても、アウトバックの考え方は残る

興味深いのは、アウトバックという車自体がもともと「既存のワゴンを別のカテゴリーへ変身させる」という発想から誕生していることだ。

1990年代にはレガシィ ツーリングワゴンを持ち上げてグランドワゴンを作り、それがアウトバックへ育った。そして約30年後、SUBARUはレヴォーグを持ち上げてレイバックを作った。

北米のアウトバックは大型SUV方向へ進み、日本の道路事情とは少しずつ距離が広がっている。一方、日本専用レイバックはS:HEVを得て、長距離移動や実用性まで強化された。

次期レイバックが大型化するなら、それは「アウトバック復活」というより、「日本向けアウトバックをレヴォーグからもう一度作り直す」動きと考えたほうが面白い。

2028年という登場時期も、次期型のサイズも、ターボ設定もまだ確定情報ではない。しかし「レイバックがアウトバックの役割へ近づいている」という部分については、現在の商品展開だけを見ても十分に観察できる。

アウトバック IS BACK――ではないのかもしれない。名前は戻らずとも、アウトバックを生んだ思想そのものがレイバックの中で生き残る。今回のスクープで注目すべきなのは、そこだろう。

【編集者が思うこと】

俺は最初、「だったら素直にアウトバックを日本で売ればいいじゃないか」と思った。でも新型の北米アウトバックを見ると、デカい。もう昔の「レガシィワゴンの車高をちょっと上げたヤツ」という面影はかなり薄い。それなら日本ではレイバックを少しずつ育てたほうが理にかなっている気もする。

それにしても面白い。昔はレガシィを持ち上げてグランドワゴンを作り、今度はレヴォーグを持ち上げてレイバックを作った。スバル、30年たって同じ料理を別の材料でもう一度作っているように見える。こういう歴史の繰り返しは嫌いじゃない。次期型が本当に「ほぼアウトバック」になったら、名前よりそっちのほうが重要だと思う。

参考資料

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