初代コルベットがマツダ・ロードスターで復活!? 光岡の新型「LA1(仮称)」は何者なのか

光岡の新型「LA1(仮称)」は初代コルベット風? ロードスター説と原点を調べた

丸目4灯、横いっぱいのメッキグリル、そしてボディ側面をえぐったようなツートーンの「コーブ」。2026年9月17日、光岡自動車が公開した新型オープンカーを見て、古いアメ車が好きな人ならたぶん同じことを思う。

「これ、C1コルベットじゃないか?」

しかも、ベース車は現行マツダ・ロードスター(ND型)とみられている。アメリカンV8の象徴みたいなコルベットの姿を、日本の1.5Lライトウェイトスポーツから作る。何とも光岡らしい話である。ただし調べてみると、これは単なる「コルベット風ロードスター」ではなかった。

「初代コルベット風」だが1953年型ではない

まず細かいところから突っ込んでおこう。今回の新型車について光岡は、まだ「コルベットをモチーフにした」と公式には発表していない。しかし外観を見る限り、1953年に登場した初代コルベット、いわゆるC1系を連想するのは自然だ。

ただし1953年型そのものではない。初期C1は丸目2灯だったが、1958年型から4灯ヘッドライトとなり、メッキを大量に使った派手な顔になった。今回の光岡車も丸目4灯で、フロントとボディ側面の造形を合わせて見ると、1958~1960年ごろのC1を思わせるデザインである。

AI生成による比較イメージです。実車写真そのものを再現したものではありません。

「初代コルベット復活」とひとまとめにすると簡単だが、狙っているとすれば、アメリカ車がメッキとテールフィンで一番ギラギラしていた時代のC1なのである。旧車好きには、ここが結構重要だ。

中身はロードスター? まだ「確定」ではない

もうひとつ注意したいのがベース車だ。公開された新型車は、Aピラー、フロントガラス、ドア周辺、ソフトトップなどからND型マツダ・ロードスターがベースと推測されている。ただし2026年9月24日現在、光岡はベース車を正式発表していない。

とはいえ、この説には強い前例がある。2018年に登場した光岡「ロックスター」もNDロードスターがベースだった。標準ロードスターより全長を約430mm延ばし、車重もSグレード比較で約90kg増やしながら、外見をC2コルベットを思わせるアメリカンスポーツへ大変身させていた。

しかも限定200台は早々に完売。全車を作り終えるまで約3年かかった。つまり光岡にとって「ロードスターの中身を残しながら、外側を昔のアメリカンスポーツへ作り替える」という方法は、すでに実績のある商売なのである。

AI生成によるデザイン比較イメージです。新型車のベース車は2026年9月24日時点で公式発表されていません。

C2を作ったあと、なぜ今度はC1へ戻ったのか

ここからが今回もっとも妙なところだ。ロックスターがC2風なら、新型車はその前世代となるC1風。普通ならC1からC2へ進みそうなものを、光岡は逆に時代を遡ったように見える。

その理由を考えるヒントが、光岡自身のティザーサイトにある。そこには創業者・光岡進氏がロサンゼルスでキットカーに出会い、ヴィンテージカーのような外観と現代的なメカニズムの組み合わせに衝撃を受けたことが、同社の「ワクワクの原点」として紹介されている。

会社史を追うとさらに話がつながる。光岡は1987年、海外で見たレプリカタイプのキットカーを参考に「BUBU CLASSIC SSK」を発売。同じ年にはロサンゼルスに現地法人まで設立している。

つまり今回のテーマは「コルベットを作りたかった」だけではなく、「古い姿に現代のメカを入れる」という光岡そのものの原点回帰なのではないか。

AI生成による概念イメージです。光岡のデザイン思想の流れを表すため、異なる時代を思わせる車両を同一画面に配置しています。実際の1980年代ロサンゼルスの情景を再現したものではありません。

「LA1」は正式車名なのか?

ティザーサイトのURLや画面には「LA1」という表記があるため、自動車メディアでは便宜上「LA1」と呼ばれている。しかし光岡はまだ正式車名として発表していない。車名、主要諸元、装備、価格、カラーなどの詳細発表は2026年11月26日、購入受付開始は翌27日の予定だ。

「LA」がLos Angelesを意味するようにも見える。創業の転機となったロサンゼルスの話を、わざわざ今回のティザーで前面に出しているからだ。ただしこれも現段階では推測。ここは11月の正式発表まで取っておきたい。

じつはヒミコが消えた翌年でもある

もうひとつ時系列を見ると面白い。ロードスター系オープンカーとして2008年から17年間作られてきた「ヒミコ」は、2025年の「Final Himiko」を最後に生産を終了した。そして翌2026年、新しいオープンカーが登場する。

光岡は「ヒミコの後継」とは言っていない。しかし商品構成だけ見れば、ロードスター系オープンモデルがひとつ消え、その空いた場所へ新型車が入ってくるようにも見える。

1950年代風の外観、現代の日本製スポーツカーのメカ、職人による少量生産。もし予想通りなら、これは「偽物のコルベット」ではない。本物のC1とは別種の気楽さで、1950年代アメリカの格好を楽しむクルマなのだろう。

【編集者が思うこと】

俺はこういうクルマ、嫌いじゃない。というよりV8も付いていない日本車を見て「コルベットじゃねえよ」と怒るのは、ちょっと野暮だと思う。本物のC1を維持するとなれば、それはもう趣味というより覚悟がいる。その格好でエアコンが効いて、普通に部品が出て、ロードスターみたいに走れたら、それはそれで相当楽しい。しかもC2風を作ったあとでC1へ戻るあたり、光岡は相変わらず変な会社だ。もちろん褒めている。

参考資料

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