仮面ライダークウガはなぜ仮面ライダーなのか?改造人間ではない平成第1作が壊した昭和ライダーの常識

仮面ライダークウガはなぜ仮面ライダーなのか?改造人間ではない平成第1作が壊した昭和ライダーの常識

【クウガって、本当に仮面ライダーなの?――昭和の常識を壊した異端の第1号】

仮面ライダークウガを見ていると、昭和ライダーを知っている人間ほど、妙な違和感を覚える。

「これ、本当に仮面ライダーなのか?」

赤い複眼、昆虫を思わせる角、変身ベルト、バイク、そして必殺キック。デザインだけを見れば、誰が見ても仮面ライダーである。

ところが設定を掘っていくと、クウガはそれまでの仮面ライダーとはかなり違う。というより、昭和ライダーが長年守ってきた「仮面ライダーらしさ」を、かなり大胆に捨てている。

昭和ライダーの中心にあった「改造人間」という悲劇

本郷猛はショッカーによって改造された。
本郷猛 仮面ライダークウガはなぜ仮面ライダーなのか?改造人間ではない平成第1作が壊した昭和ライダーの常識
一文字隼人も同じ。風見志郎は1号と2号によってV3へ改造され、神敬介は父親によってXとなった。スーパー1の沖一也は、自ら志願して惑星開発用改造人間になっている。

つまり、改造したのは必ずしも悪の組織ではない。そこは間違えてはいけない。

しかし昭和ライダーには長く、「生身の人間ではなくなった者が、それでも人間のために戦う」という共通した悲劇が存在した。

敵と戦うための力を得た代償として、もう普通の人間には戻れない。それこそが、初期の仮面ライダーを単なる変身ヒーローとは違う存在にしていたのである。

ところが五代雄介は「改造手術」を受けていない

では五代雄介はどうなのか。
五代雄介 仮面ライダークウガはなぜ仮面ライダーなのか?改造人間ではない平成第1作が壊した昭和ライダーの常識
ショッカーの手術台に縛り付けられたわけでもない。科学者に機械を埋め込まれたわけでもない。古代リント族が残したアークルと出会った、ごく普通の冒険家だった。

ただし、ここで「ベルトを装着しただけの一般人」と言ってしまうと正確ではない。

アークルは単なる変身ベルトではない。内部の霊石アマダムとともに五代の腹部へ取り込まれ、そこから神経組織のようなものが全身へ広がり、肉体そのものを変質させていく。
仮面ライダークウガはなぜ仮面ライダーなのか?改造人間ではない平成第1作が壊した昭和ライダーの常識
つまりクウガは、手術で造られた改造人間ではないが、古代の力によって人間ではあり得ない身体へ変化してしまった存在なのである。

考えてみれば、これはかなり怖い。

警察から見ればヒーローではなく「第4号」

さらに面白いのが、劇中世界での扱いだ。

我々視聴者は「仮面ライダークウガ」と呼んでいる。しかし警察の公式呼称は「未確認生命体第4号」
未確認生命体第4号 仮面ライダークウガはなぜ仮面ライダーなのか?改造人間ではない平成第1作が壊した昭和ライダーの常識
つまり警察から見れば、最初から正義のヒーローとして認定されているわけではない。人間を殺して回る未確認生命体たちの中に現れた、正体不明のもう一体なのである。

昭和ライダーなら「仮面ライダー対悪の秘密結社」という構図が分かりやすかった。ところがクウガでは、その構図すら壊してしまった。

敵のグロンギも「世界征服」を目指していない

グロンギもショッカーとはまるで違う。

世界征服を宣言する大首領はいない。日本政府を転覆させる壮大な作戦が毎週始まるわけでもない。戦闘員が「イーッ!」と集団で襲ってくることもない。
グロンギ-仮面ライダークウガはなぜ仮面ライダーなのか?改造人間ではない平成第1作が壊した昭和ライダーの常識
彼らが行っているのは「ゲゲル」

一定時間内に一定人数の人間を、決められた条件で殺す。それによって自分たちの階級を競う、残酷なゲームである。

だからクウガの怪人事件は「悪の組織の作戦」というより、現代社会で発生する異常な連続殺人事件として描かれる。

そこへ刑事、捜査本部、鑑識、科学分析、警察無線などが絡んでくる。

仮面ライダーというより、一時は刑事ドラマの中に怪人が紛れ込んだようにすら見える。

それでもクウガには「仮面ライダーの悲劇」が残っている

ではクウガは、本当に仮面ライダーではないのか。

ここからが面白い。

五代の身体はアマダムによって強くなればなるほど、人間から遠ざかっていく。そして最終的には、憎しみに支配されたまま究極の力を使えば、「究極の闇をもたらす者」と同質の存在になる危険まで示される。

つまり方法は違っても、結局そこにあるのは、

「怪物と戦うため、自分自身も怪物に近づいていく」

という、初代仮面ライダーから続いてきた残酷な構造なのである。

五代雄介は、それでも笑う。

人の涙を見たくない。みんなの笑顔を守りたい。そのために自分の身体がどうなろうと戦う。

ここまで来ると、改造手術を受けたかどうかなど、もはや表面的な違いに思えてくる。

クウガは「仮面ライダー」を壊して、仮面ライダーを残した

『仮面ライダークウガ』は2000年に始まった平成仮面ライダーシリーズ第1作であり、『BLACK RX』以来およそ10年ぶりとなるテレビシリーズだった。

そこで制作側が選んだのは、昔の仮面ライダーをそのまま復活させることではなかった。

改造手術を捨てた。秘密結社を捨てた。世界征服を捨てた。毎週の悪の作戦を捨てた。

それでも、ベルトを残した。バイクを残した。キックを残した。そして何より、人間ではなくなっていく恐怖を背負いながら、それでも人間のために戦う男を残した。

だからクウガは、昭和の基準だけで見れば確かに異端である。

だが「仮面ライダーではない」のではない。

クウガが、「何をもって仮面ライダーと呼ぶのか」という基準そのものを変えてしまったのだ。

デザインは仮面ライダー。設定はそれまでと別物。しかし、その心臓部には確かに仮面ライダーがいる。
仮面ライダークウガはなぜ仮面ライダーなのか?改造人間ではない平成第1作が壊した昭和ライダーの常識
昭和の仮面ライダーを一度壊し、その魂だけを2000年へ持ってきた。

だからクウガは、平成最初の仮面ライダーになれたのである。

【管理者が思うこと】

クウガは、昭和ライダーの常識を壊したからこそ面白いのだと思う。改造人間でもなく、悪の秘密結社も出てこない。それでも最後まで見れば、ちゃんと仮面ライダーの魂が残っている。結局、大事なのは設定ではなく「何を背負って戦うのか」なのだろう。

【youtube動画】

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