不味い店を「不味い」とSNSに書いたら営業妨害? では、不味いのに「美味い」は問題ないのか

SNSや口コミサイトで飲食店を評価するとき、妙な空気がある。

「この店、不味かった」は営業妨害なのか

「美味しかった!」なら何の問題もない。しかし「不味かった」と書いた途端、「営業妨害になるぞ」「名誉毀損で訴えられるぞ」という話が出てくる。
では、本当に食べて不味かった人まで黙らなければならないのか。

調べてみると、そこまで単純な話ではない。

「不味い」は事実ではなく、かなり主観である

まず重要なのが、味覚には絶対的な基準がないことだ。

同じラーメンでも「濃厚で最高」と感じる人がいれば、「脂っこくて食べられない」と感じる人もいる。

神奈川県弁護士会も、口コミで「不味い」「接客が悪い」などと書くことについて、基本的には投稿者の主観的な感想であり、具体的な事実を示したものとは言いにくいと解説している。

つまり、実際に食べたうえで「自分には不味かった」と書いたからといって、それだけで犯罪になるわけではない。

口コミという仕組みを考えれば、それも当然だろう。良かった店しか評価できないなら、もはや口コミではなく無料広告である。

危ないのは「不味い」より、その先である

ただし、何を書いても自由という話ではない。

「俺には不味かった」と、

「腐った食材を使っている」
「残飯を再利用している」
「食中毒を何度も出している」

では、まったく性質が違う。
後者は単なる感想ではなく、本当かどうか確認できる具体的な事実を店について述べている。

刑法の名誉毀損罪は、実は「本当のことなら絶対に大丈夫」という仕組みにもなっていない。公共性や公益目的、真実性などが問題になる場合がある。

また、刑法233条の信用毀損・業務妨害は、虚偽の風説を流したり、偽計を使ったりして信用や業務を害する行為を対象としている。

店を潰す目的になると、話はさらに変わる

「一度食べたが好みではなかった」という投稿と、「みんなで最低評価を付けてこの店を潰そう」という行為も同じではない。

口コミは感想を共有する場所であって、嫌いな店を集団で攻撃するための武器ではない。

辛口レビューを書くなら、味、量、価格、待ち時間、接客など、実際に体験した内容を具体的に書く方がいい。

「最悪の店。絶対行くな」より、「自分には塩味が強すぎた。1200円という価格を考えると再訪はしない」の方が、読者にとってもはるかに役に立つ。

では「不味いのに美味い」と書くのは罪なのか

ここで逆方向から考えると、少し妙なことに気付く。

本当は大して美味しくないと思っていても、SNSで「最高でした!」と書けば、普通は誰にも怒られない。

しかし、それを全員がやったら口コミは崩壊する。

さらに店から報酬や商品提供を受け、広告であることを隠したまま一般客の口コミのように褒めるとなれば、単なる「個人の感想」とは別の問題になる。

日本では2023年10月から、広告であることを隠すステルスマーケティングが景品表示法の規制対象になっている。

つまり皮肉なことに、正直な低評価より、偽装された高評価の方が消費者をだます場合もある。

星5(★★★★★)しか許されない世界は、口コミではない

店側からすれば、悪い口コミを書かれたくないのは当然である。しかし客側も、お金を払って料理を食べている。

美味しければ美味しい。不味ければ不味い。高ければ高い。接客が悪ければ悪い。

そうした評価が存在するからこそ、口コミには意味がある。

問題なのは「悪く書いたこと」ではない。体験していないことを作る、事実ではない話を広める、人格攻撃をする、集団で店を攻撃する。このあたりから話がおかしくなる。

逆に、低評価を一切許さず「美味しかったという投稿だけお願いします」となった瞬間、それは口コミではない。
ただの広告欄である。

【編集者が思うこと】

「不味かった」と書くのを怖がって、みんなが無難に星4(★★★★☆)を付け始めたら、口コミサイトなんて見る意味がない。不味いものを不味いと言える場所だから価値がある。ただし悪口とレビューは別物。俺なら「二度と行かない」で終わらせず、なぜ行かないのかを書く。それがいちばん強い低評価だと思う。

参考資料

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